[18日目]日本酒ペアリング③ 味の濃淡と相互効果 企画編

By | 2014年11月15日
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■あじの そうごこうかの げんかい

じょしゅ♂「おお しょちょうJよ しんでしまうとは なさけない」

しょちょうJ「・・・はっ!ここは いったい・・・」 ⇒くわしくは 14にちめ をさんしょう

じょしゅ♂「そなたに もういちど きかいを あたえよう。 ふたたび このようなことが ないようにな。 では ゆけ! しょちょうJよ!」

しょちょうJ「はい・・・」

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

所長J「って、おい!」

助手♂「あれ漢字にもどった!」

所長J「突っ込むポイントはそこじゃない。えーと・・・

所長J「私はなんで死んでいたんだ?」

助手♂「覚えていないのですか?あなたは助手♀に殺されたのです・・・あんなペアリングの失敗をしたら、そりゃ助手♀も怒りますよ・・・」

所長J「ペアリングの失敗?なんだっけ?」

助手♂「『なんだっけ?』じゃないですよ。作った料理は酒にあわないわ、挙句の果てに端から『ペアリングの効果は期待していなかった』とか。」

所長J「ううっ、頭が痛い・・・・・・・・はっ!・・・・・・なんとなく思い出してきたぞ。」

味の相互効果

所長J「・・・あれは・・・事故だ。」

助手♂「(うそつくな。)」

所長J「味の相互効果に基づけば、きちんと旨味同士の『相乗効果』が生まれるはずだったんだ。だけど一つペアリングの時に考えなきゃいけないことを忘れていたんだよ。」

助手♂「忘れていた?相互効果については10日目の理論編できっちりロジックを詰めていたはず。一体何を忘れていたというんです?」

⇒10日目の理論編はこちらから

 

敗北を抱きしめて

所長J「『味の強さ』を合わせることをすっかり忘れていたんだよ。」

助手♂「『味の強さ』??そういえばいつもチャートの下の方に『味の強さ(主観)』って書いてありましたけども・・・あれですか?」

所長J「・・・そう、頭の片隅で気にはしていたから、いつもチャートの下の方に書いていたんだ。最初に説明をするのを忘れていたんだけど・・・」

所長J「味の強さこそが、相互効果が機能するための重要な鍵だったんだよ!」

助手♂「な、なんだってー!」

助手♂「・・・って、いや、待ってください。そもそも『味の強さ』って何なんですか?それから『味の強さ』が『相互効果の鍵』って・・・何を言っているのかさっぱりわかりません。」

所長J「そうかそうか、つまり君はそういう奴なんだな。」

助手♂「黙れ、エーミール!・・・ちゃんと説明してください、ちゃんと。」

 

■『味の強さ』、すなわち『味の濃淡』

所長J「『味の強さ』というのは、つまるところ『味の濃淡』、濃さと薄さのこと。酒と食べ物の二つの味の要素の間に濃淡のアンバランスがあると、相互効果はちゃんと機能しないんだ。」

相互効果と濃淡

所長J「『スイカに塩』、これは典型的な『対比効果』の例であって、この研究所でも何回も紹介してきた。」

助手♂「スイカにしょっぱい塩をふると、よりスイカの甘さを強く感じることができる、というあれですね。」

所長J「いかにも。ただし、塩についても、ただ闇雲にかければ良いってもんじゃない。かけ過ぎれば『ただしょっぱいだけ』で『対比効果』なんて打ち消されてしまうんだ。」

助手♂「なるほど・・・って当たり前と言えば当たり前ですね。そりゃ塩かけ過ぎたら、スイカだってただしょっぱいだけでしょう。しかしですね、具体的に、じゃ、スイカには塩何グラムをかけたら『対比効果』が生まれるというんです?」

所長J「だいたい0.3~0.4グラムぐらいじゃないか?」

助手♂「え?なんか超具体的なんですけど、その根拠は?」

所長J「家庭で使われている塩のケースの一振りはだいたい0.08~0.1グラム程度だ。スイカにはだいたい四振りぐらいするから、0.3~0.4グラムぐらいだと推定される。」

助手♂「なるほど、たしかに感覚としてはそんなもものような気がしますが、厳密に言って、それがベストな塩の量かというのもわからないですね。」

所長J「そうなんだ。『スイカと塩』なんて単純なペアリングでも、ベストな塩の量を厳密に言うのは難しい。もっと複雑なら料理ならなおさら難しい。だけどやはりペアリングを考えるときに『味の濃淡』というものを考えないわけにはいかない。『味の濃淡』はペアリングの『第二の柱』なんだ。

助手♂「『第二の柱』・・・?」

 

■ペアリングのアナザーディメンション

助手♂「『味の相互効果』だけがペアリングの理論じゃないんですか?」

所長J「んだんだ。人が、食べたものを『おいしい』と感じるか感じないかを決定するのは①甘味・苦味・塩味などの味の要素とその相互効果だけではないよ。酒も食べ物のも、もっと複雑な要因によって感じられる『おいしさ』は左右されるし、両者をペアリングしたときでも同じことが言えると思う。」

助手♂「そうなんですね。結構前回の肉料理のペアリングで『ペアリングって奥が深い』と思ったのですが、まだまだ考えんきゃならないことがあるんですね。」

所長J「ああ。ステップで言うなら、『①味』の攻略は金牛宮を攻略した程度。酒と料理のペアリングというサンクチュアリを攻略するには、まだまだ越えなければならないものがたくさんあるのだよ。」

双子宮

助手♂「となると我々はまだクロコダインを倒した程度と言うことですか。次の双子宮では・・・」

所長J「第二の理論の柱である『濃淡』を攻略するとこういうことになる。しかしこの『②濃淡』というのがまさに曲者で、まさにアナザーディメンションなのだよ。それとな、金牛宮にいたのは確かにおっさんだが、クロコダインじゃなくてアルデバランだから。それはともかく、『②濃淡』がいかに曲者かについては、次の理論編で考えてみようか。」

 

[19日目]日本酒ペアリング③ 味の濃淡と相互効果 理論編に続く

日本酒deペアリングラボのまとめページはこちらから

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