■ペアリングは神秘の秘法ではない!
助手♀「・・・なるほど難しそうだけどなんとなくわかりました。ソムリエやビアテイスターはこういうチャートを頭に入れながら料理のペアリングを考えているんですね?」
シェフなおみ「それはわからん…『KKD』で言ってるだけのソムリエもいるとは思う」
助手♂「KKD?」
シェフなおみ「経験・勘・度胸ね。ペアリングなんてある意味『勢いで言ったもん勝ち』的なところもある。ソムリエに『この料理とこのワインは合いますよ』と言われたら実際に合ってるかどうかわからなくても、なんとなく合ってるような気がしてくるだろう?むしろ合ってないと思っている自分がおかしいんじゃないかとすら思ってしまう。経験が少ないからそれが分からないのだと思い込んでしまう。」
所長J「もちろん経験やある種のインスピレーションと言うのも大事だとは思うけれども、それだとテイスティングやペアリングは『神秘の秘法』的なモノになってしまうからね。でもきちっと味の相互作用のフレームに落とせば、誰でも『なぜその組み合わせが合うか?』『あるいは合わないか』を説明することができる はずなんだよ。」
助手♂「なるほど」
所長J「日本酒は特に、伝統と格式のある飲み物だから、こうした理論的なアプローチがまだまだ足りてないんじゃないかと思うんだ。」
シェフなおみ「だから敢えて日本酒は初心者のJが所長なわけ」
■ラボの目指す姿とアプローチ
所長J「では3日間の締めくくりと言うことで、このラボが目指す姿と、アプローチ方法をまとめてみたよ。」
所長J「研究所内の役割分担はこうだ」
所長J: 味の相互効果に基づく酒と料理のペアリングの仮説構築
シェフなおみ:所長Jから提示された料理の作成
助手♀&助手♂:シェフなおみが作った料理の実食とペアリング仮説の検証
助手♂「合点。私たちは食べて感想を言えばいいわけですね。」
所長J「平たく言うとそうだな。さてと、最初の説明としてはこんなものかな。理論ばかり話していてもしょうがないから早速最初のペアリングに取り掛かかろうか」