[13日目]日本酒ペアリング 第2弾「独眼竜に俺はなる!」 実食編①

By | 2014年10月20日
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[12日目]日本酒ペアリング 第2弾「独眼竜に俺はなる!」 調理編はこちら

第2弾「独眼竜に俺はなる!」 の「初回:企画編」から読む場合はこちらから

 

■まずはお酒を飲んでみよう(勝山)

所長J「実食編は前回の菊姫に続いて二度目ですが、まずはペアリングに進む前に、日本酒単体での味を確認しておきましょうか?」

助手♀「そうですね、私、今回のお酒どちらも飲んだことありませんし。」

助手♂「まずは『勝山』から行ってみましょう。」

勝山 サファイア

いつものペースなら15分ぐらいで瞬殺してしまうと思われる。

助手♂「それにしても、改めて見ても日本酒らしからぬ佇まいの瓶ですね。」

所長J「最近ワイン樽仕上げの日本酒とかも多いので、こういうワインっぽい瓶は良く見かけるようになったね、そういえば。容量的には、普通の4合瓶と同じだね。」

助手♂「いつものわれわれのペースだと、瞬殺してしまいそうです。」

所長J「食べる前に全部飲んだら意味がないので、みんな少しずつ飲むように。」

助手♂「へへい。」

スライド3

助手♀「ではいただきます。・・・おおっ、日本酒っぽくない!すごい面白い味ですね。甘い。」

所長J「フレッシュな若いメロンの香り・・・というよりは、かなり熟々したメロンのような香りだな。夕張メロンやマスクメロンのような。」

助手♀「明らかなメロンですね。私はお酒が得意じゃないですが、はっきり分かる味です。あれ?裏に『エキスが沈殿するので、飲む前に振れ』って・・・」

所長J「あっ!?また忘れてた・・・」(シェイク、シェイク・・・)

助手♀「改めて振ってから飲んでみると、ちょっとフルーティーさが増したような気がしますね・・・食前酒として良さそうです・・・ってこらこら普通飲み始めてませんか、ちょっと所長!!」

所長J「おっとすまん。うますぎたのでつい・・・さて、秋鹿に移る前に言い残しがないようにしておかなくちゃだが、甘さと香り以外のこのお酒の特徴は、そう、低いアルコール度数と原料米が『ひとめぼれ』である点かな?」

助手♂「『ひとめぼれ』なんですか?『ひとめぼれ』でこれだけ美味しいお酒が出来るなら、『酒造好適米ってなんだっけ?』って気にもなりますね。」

所長J「『ひとめぼれ』を使ったこの子(サファイア)は『勝山』䴇 シリーズの中で一番安い(といいつつ、3,700円ぐらいするのだが)ランクなのだが、上のシリーズ(ルビー、エメラルド)では、『山田錦』が使われている。(飲んだことはないが)さらに味は濃いらしい。上には上があるので、一番安いのランクは『ひとめぼれ』を使ってコストを抑えているんだろう。」

助手♂「いや、一番安いと言っても相当おいしい。さらに上があるなら是非飲んでみたいですね。」

所長J「そうだな・・・研究所の経営を傾ける覚悟があればだな・・・」

勝山 䴇シリーズの最高峰Ruby Labelの気になるお値段は・・・

 

■オータム・バンビも飲んでみよう(秋鹿)

秋鹿 ひやおろし

一升瓶しか入手できませんでした。

助手♂「これは、ラベルがザ・日本酒って感じですね。」

所長J「カップ酒の秋鹿はカワイイ鹿がプリントされているのだが。

助手♀「この瓶は鹿どころか絵すらありませんし、紙に文字を書いただけですね。なんか果たし状みたいな感じで、蔵の自信が溢れているようです。」

所長J「んじゃまぁ、勝負に行ってみようか。一升あるから、これは多少飲み過ぎても大丈夫だろう。」

スライド4

助手♂「うーん、これは、なんというか、酸っぱいですね!」

所長J「前回の菊姫もそれなりに酸っぱかったが、秋鹿もなかなかどうして。」

助手♀「そしてうーん、私よく分からないのですが、これが『山田錦特有の豊かな味わい』なんですか?」

所長J「どこの通販サイトのレビューを見てもそう書いてあるので、仕方なくそうスライドにも書いておいたのだが、わたしもよくわからん。」

所長J「というか、今後うちの研究所での酒のレビューでその『山田錦の豊かな味わい』って表現は禁止な。その言葉では何も説明したことにならないってことがよくわかったから。」

助手♀「『山田錦特有の豊かな味わい』と聞いたら、炊いたお米的なふくらみを想像しますけど、秋鹿はそういう感じではないですね。」

所長J「そういうふわっとした旨味はないね。まぁ端からそういう味を期待していたわけじゃないので、これからのペアリングという意味ではそれで何の問題もないんだけど。」

助手♂「ペアリングする上での秋鹿の狙いは『渋味』と『苦味』と言うことでしたが、たしかにこれ渋柿を食べた時のような渋味はあります。勝山とは対極的です。いやでも、これはこれで美味しい。いつまでも飲んでいられそうなのは、どちらかというと秋鹿の方かもしれない。」

所長J「上司に飲まされるなら、私も秋鹿の方が良いかも。癖がない。菊姫よりは酸っぱいが、癖がないので、飲みやすい。きれいな酸ってこういうことかもしれない。」

助手♂「女子に飲まされるなら、勝山の方が良いかもしれないですが。ドイツのアイスワイン好きの女子とかなら、断然勝山がおすすめですね。」

所長J「ふむ。しかし、あれだな。やたら甘い勝山といい、やたら渋くて酸っぱい秋鹿と言い、これ、どっちもシェフなおみ好みの味じゃないな、たぶん。」

助手♀「まぁ秋鹿は残りそうだから、後で見つけたら飲ませてみたらいいんじゃないですか?」

所長J「そうだな。さて、酒の味は確認できたので、そろそろ、あれ行ってみようか。さて二つとも、どう変わってくれるかな?」

 

■ペアリング実食 一回戦 v.s. スペアリブ

IMGP4755

所長J「(我ながらうまくできたなぁ・・・)」

助手♂「たれとご飯だけで、満足できそうです。」

スライド6

 

所長J「どちらから行こうか・・・順番逆になっちゃうけど、下の秋鹿から行ってみようか。」

助手♂「じゃ注いでおきます。」

所長J「秋鹿は『対比効果』狙いなので、①まずは肉だけで食べてみます。次に②秋鹿の苦味・渋みが旨味を引き立てるはずなので、先に秋鹿を飲んでから、肉を食べてみましょう。それで味の変化を確かめます。」

助手♂「・・・どれどれ、うーん!あ、なんか秋鹿が飲みやすくなったような?」

助手♀「そうですね。秋鹿単体だと、ちょっと酸っぱさや苦味が合って、私、苦手な感じでしたが、不思議、それがスッと気にならなくなりました。」

所長J「うーん、たしかに。なんだか秋鹿が水のようにスッと消えて行って、肉の輪郭がものすごくはっきりと出てくるような気がする。」

助手♀「まさに『対比効果』ですね。」

所長J「『まさに』だな。秋鹿の酸味が消えたのはスペアリブの砂糖・蜂蜜の甘味の『抑制効果』だわな。」

助手♂「秋鹿はスペアリブを引き立てて、自分は裏に隠れてしまう。だけど、そのおかげでいい感じに『リセット』されるので、肉も酒も何倍でもイケてしまいそうです」

所長J「『切る』感じだね。うーん・・・・・・・・・・・・」

助手♀「どうしたんですか、所長?」

所長J「こんなに上手く行くとは思わなかったので、ちょっと驚いた。しかも、この変化は誰でもわかるレベルだな。こうなると俄然勝山にも期待したくなるが・・・どうだろう?」

助手♂「行ってみますか!」

 

所長J「ふむ。勝山は秋鹿と違って、『相乗効果』狙いです。『相乗効果』で酒の旨味と肉の旨味を重ね合わせることになるので、①まずスペアリブを少し口に含んで、②肉が口に残っているうちに勝山を口に含んで、③よく咀嚼してみましょう。口内調味します。」

助手♂「なるほど・・・どれどれ・・・・・・」

助手♀「!?・・・これはっ!?」

助手♂「酒が、強くなった?」

所長J「強いというか・・・咀嚼している途中から甘味が増したかな?これはもしかしたらこれが旨味なのか?」

助手♂「旨味なのか甘味なのかは・・・前回同様またよく分かりません(笑)。しかしこれ、最初に飲んだときは、食前酒かなぁという気がしたのですが、今飲んでみると、全然食中酒としてイケるなぁ。甘さがくどくない。」

助手♀「メロンの香りもちょっと変わったような気がします。スペアリブと一緒になると『ぶわっ』って一気に香ってくるような気がします。」

所長J「きっとアツアツのスペアリブで、瞬間的に酒の温度が温まったんだろうね。」

助手♀「温度かぁ・・・。」

所長J「香りのメロンはどこに掛ってくるのか分からなかったので、チャート上だと、特に何の線も弾いてなかったんだけど、料理の『温度』が掛ってくるとは想定外だったね。」

助手♂「全般的に、秋鹿とは逆で、勝山が前面に出てくる感じで、スペアリブが勝山を引き立てていますね。そんな感じがします。」

所長J「同じ肉でも、真逆の結果か。面白い。まぁとりあえず最初の滑り出しとしては、こんなもんか。(よかった失敗しなくて・・・死刑は嫌だしな・・・)勝山もだれでも確認できるレベルの変化が出てくれて良かった。では続いて煮込みハンバーグに行ってみようか。」

 

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