[15日目]日本酒ペアリング 第2弾「独眼竜に俺はなる!」 反省会編

By | 2014年11月2日
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第2弾「独眼竜に俺はなる!」 の「初回:企画編」から読む場合はこちらから

[14日目]日本酒ペアリング 第2弾「独眼竜に俺はなる!」 実食編②はこちら

■というわけで、結果レポートと言う名の反省会

日本酒ペアリング1

所長J「長らく続いてきた第2回のペアリングラボも今回で最終回。まずなんですが、企画編が投稿されたのが9月13日ですから、足掛け2か月。ぶっちゃけ、長いので次回はもう少しどこかを縮めないとなぁ・・・と反省している次第です。しかしどこを削るのがよいのでしょうか?」

所長J「いきなり結論の実食編だけやってもおもしろくないですしねぇ・・・私は調理編をまとめるのが一番かったるかったんですが・・・たまたま仕事が忙しかったのと重なったというのもあるのですが。まぁいいや、それはまた別途考える。」

 

■ペアリングの初期仮説

日本酒ペアリング2

二つの仮説を持って今回のペアリングを試みました

 

所長J「『肉と言えば、ビールじゃない、赤ワインでもない、これからは日本酒だ』というわけで、肉料理が日本酒に合うとしたらどういう組み合わせが考えられるかを、相互効果のチャートを見ながら考えました。肉の調理法によっていかようにも風味(Flavor)は変えられますが、うちの研究所はまだそういう高度な風味のペアリングを試す段階ではありません(それは次の次のステップで考えてはいる)。」

所長J「なので、素直に肉の旨味と日本酒をマリアージュ(って言葉を使えって、SEO担当者に念を押されたのだが、この言葉を使うたびに私のソウルジェムは濁っていく気がする・・・)させる方法を考えました。」

所長J「基本のチャートに立ち戻ると仮説として考えられる方法は2つ。『①旨味のある日本酒を肉の旨味に掛け合わせる(相乗効果)』か『②塩見・苦味・渋味のある日本酒で肉の旨味を際立たせる(対比効果)』かです。②については、しょっぱい日本酒というのはないので、『苦味・渋味』のある日本酒を探すということになります。」

 

■仮説に合った酒を選ぶ

日本酒ペアリング3

勝山は飲んだことがあるので、ほぼ想定通りの味でした。◎は想定通りの味。○は少し想定と違ってた味。

所長J「①の仮説用に用意したのが『勝山 䴇 Sapphire Label』。単体で味わうとトロットしたアミノ酸の旨味と米の甘味が感じられます。香りはフレッシュなメロンと言うよりは、冷蔵庫で1週間ほど寝かせて熟成されたメロンのような割と甘ったるい感じの香りでした。単体で飲むと食前酒か食後酒といった趣きですが、肉と合わせると一気に違った側面を見せて『豹変』します。」

 

日本酒ペアリング4

◎は想定通りの味。△はだいぶ想定と違ってた味。

所長J「一方②の仮説用の酒ですが、そもそも米をどう加工したって渋くはならないし、パッと思いつく酒がありませんでした。が、流石『酒屋は酒のプロ』と言うことで、素直に『こんな感じの』と頼んだら出てきたのが『秋鹿 純米吟醸 倉垣村 ひやおろし』。」

所長J「その味わいについて、どこのサイトにも『山田錦特有の豊かな味わい』と書いてありますが、まずこのお酒について触れるべきは独特の苦みと渋味であって、それには触れずに『山田錦特有の豊かな味わい』って書くのは『日本酒の説明としてどうなのよ』と私は思ってしまうわけです。それはともかくとして・・・」

 

■ペアリングの仮説と結果1/3(スペアリブ)

日本酒ペアリング5

所長J「ペアリングするのは肉料理だったら、例えば単純にカルビの塩焼きとかでも良いわけだが、家でも作りそうなものをピックアップしてみた。スペアリブは甘く煮込んだ肉料理としてピックアップした。」

所長J「甘く煮込んだ肉料理なら豚の角煮とかでも良かった気がするが、なんか素直に和食に行くのも面白くないと思い、スペアリブ。(スペアリブまではそういう遊び心のある選択をしていて正解だった・・・わけだが・・・)。」

 

日本酒ペアリング6

所長J「結論から言うと、この勝山&秋鹿×スペアリブの組み合わせが、今回のペアリングの中では一番よかった。もともと仮説(Before)として引いていた相互効果の線も妥当性が確認できた。」

所長J「まず①勝山の旨味と料理の旨味を口内調味すると、だれもが感じられるレベルで、旨味の『相乗効果』を得ることが出来た。また勝山に関しては、②おそらくその甘さを殺さないためにも、塩で味付けした肉料理よりも甘味のある肉料理の方が合うかと思われる。③食べ物の熱が加わることで、メロンの香りが一気に高まったのは、当初想定していない効果であった。咀嚼する度に旨味が増していく。ドロドロになるほどにおいしくなる。まさにマリアージュである(またソウルジェムが濁る)。」

所長J「一方の秋鹿。秋鹿は④渋味や苦味がスペアリブを引きたてるだけ引きたてて、秋鹿自信の特徴である④渋味や苦味や⑤酸味はスペアリブの甘味に抑制されたのかスッと消えていった。旨味をピュアに感じることができたという意味ではこれもGood Pairingだったということができるだろう。」

 

■ペアリングの仮説と結果2/3(煮込みハンバーグ)日本酒ペアリング7

所長J「煮込みハンバーグは、しょっぱい肉の煮込み料理として採用した・・・はずだったのだが・・・」

 

日本酒ペアリング8

所長J「そもそもあまりしょっぱくはなかったので、味の組み合わせとしてはスペアリブと大きく変わらないものになってしまった。であれば、スペアリブと同じような相互効果が期待できる、と思いきや、確認できたのは、①勝山の旨味と合挽ミンチの旨味の『相乗効果』だけであった。」

所長J「おそらくだが、酒との相互効果が得られなかった原因は『味のペアリングミス』以上に、『味の強さ=濃淡』が酒と食べ物の間で合っていなかったことが原因ではないかと思われる。」

所長J「ただハンバーグを焼くのではなく、さらに味を濃くするために、今回は敢えてハンバーグを煮込んだ。スペアリブの時には酒と食べ物の濃淡のバランスが保てていたが、煮込んだせいでそれが崩れてしまった。結果的に勝山の旨味はハンバーグに飲みこまれ、秋鹿の渋味や苦味ではうまくハンバーグを際立たせることが出来なかった。」

 

■ペアリングの仮説と結果3/3(ラタトュイユ)

日本酒ペアリング9

 

所長J「肉料理の会なのに、ラタトュイユを最後のメニューに選択した理由は、野菜の旨味(主にはグルタミン酸)と日本酒の旨味の確認したかったからなわけだが、すでに仮説構築の段階で、相互効果の線を引くのに苦戦しているのが目に見えてわかりますねぇ、まぁやってるのは自分なんですけど。」

日本酒ペアリング10

所長J「で、結局のところラタトュイユ自身が酒を引き立てるということは『やっぱりなくて』、結果的に他のペアリングの良さを引き立てるだけの結果になりました。まぁペアリングと言うのはより合う組み合わせを見つけるだけじゃなくて、

合わない組み合わせを見つけるのもペアリングですから。」

所長J「・・・そういうわけで、助手♀、すまんかった。」

所長J「ラタトュイユはともかく、煮込みハンバーグでは『相互効果』だけでなく『濃淡』というペアリングをする上で重要な概念にたどり着くことができました。第3弾のラボでは、ここらへんをテーマとしてさらにマリアージュ(ちっ・・・)を深掘りしてみたいと思います。」

日本酒ペアリング 第2弾「独眼竜に俺はなる!」 完

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[16日目]日本酒ペアリング コラム ~マリアージュ vs ペアリング 仁義なき戦い~はこちらから

 

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